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滝不動「山形県」

宜保愛子氏も拒否した山形屈指の心霊スポット

※はじめての出羽三山より

山形県は、中央に位置する山伏修行で有名な出羽三山(でわさんざん)を背景に自然豊かなことで知られているが、全国のオカルト好きの中で有名なのはやはり「滝不動」であろう。

 

数多くの風説があるが、「境内の不動明王の剣に触れると祟られる」「現れた老婆の警告を無視すると事故に遭う」「白い車で訪れると手形がつく」など、もはや呪いの類としか言えない直接的な被害に遭うものが多い。

中には伝説の霊能者として有名だった、故・冝保愛子氏(ぎぼあいこ)の死因になったという噂もあるほど危険な場所である。なお、こちらの詳細については後述する。

 

近隣には心霊ファンにはおなじみの「山元トンネル(山元隧道)」もあり、「滝不動」とセットで訪れる人も多いという。

この山元隧道は滝不動と同様に怪異が頻発することで有名だが、元々「隧道(すいどう)」という言葉は、棺を埋めるために地中を掘り下げて墓穴へ通じる道という意味だ。

あちらこちらに点在する〇〇隧道と呼ばれるトンネルが、冥界に通じる穴だと思うとゾッとする話である。

 

50年以上前にはその言葉の意味も忘れ去られ、「隧道(すいどう)」と名付けられることが多かったのだが、いずれも古いトンネルは崩落する危険性が高いので通行の際には注意が必要だ。

では話を戻して、「滝不動」で過去に何が起こったのか、どんな霊障があるのか、実際の体験談なども加えて詳しくご紹介しよう。

 

滝不動はどんなところ?

※かみのやま温泉街

滝不動へのアクセスは温泉地で有名な上山市鶴脛町(つるはぎちょう)の県道104号線沿い、細い山道を進んで行くことで到着する。滝不動についてはこういった話がある。

 

※上山市鶴脛町(つるはぎちょう)県道104号線沿い、山元隧道へ続く道

ある日の宵のこと。ドライブ旅行中のA氏は「滝不動」のことを何も知らずに近くを通りかかった。車を走らせていると、何故かこれまでに感じたことのないような強烈な恐怖に見舞われた。

心の中で「助けてくれ!」と祈るような気持ちで山道を走ること数十分、ようやく前方に街灯の明かりが見えてきた。A氏は「助かった…」と思いホッと胸をなでおろし帰路に就いた。

 

帰宅したA氏はなぜか「あの場所」が頭から離れず、インターネットで調べてみることにした。

すると恐怖体験やいわくつきの話が次々とヒットした。「あの場所」が心霊スポットで有名な「滝不動」だったと知り、妙に納得したという。

おそらくこのドライバーはもともと霊感が強く、何の前情報もなく付近を通りかかったわけだが、霊感の強さが災いして「何か」を感じとってしまい、心理的不安状態に陥ってしまったのであろう。

その道は対向車が来る度にかろうじてすれ違える程度の細い山道で、近くには山元隧道や火葬場もあり不気味な場所だ。霊感がない者だとしても近づくのは極力遠慮したいものである。

 

首なし地蔵と母子の霊

さて、前述のドライバーA氏が通りがかった山道、その道中に何の前触れも無くポツンと鳥居が見えてくる。この鳥居を下った先が心霊スポットして名高い「滝不動」である。

 

※訪れる時期により首が無いと言われているお地蔵様

鳥居の先には「首無し地蔵」と呼ばれる地蔵堂が祀ってあり、じつはこの地蔵堂にもいわくがある。まずはこのお地蔵様がなぜ「首無し地蔵」と呼ばれるかについてご紹介しよう。

 

一昔前のこと、赤子をおぶったまま農作業をしていた母親が、誤って我が子の頭を鎌で斬り落としてしまった。錯乱した母親は、首のない赤子を抱えたままこの鳥居で首を吊ってしまったのだという。

その事件以降、付近では母子の霊の目撃談や赤ちゃんの泣き声が聞こえるなどの怪現象が起こるようになった。不憫(ふびん)に思った地元の民は母子の霊を慰めるため、鳥居の先にお地蔵様を祀ったのだ。

しかし、地元民が立ち寄ってみるといつの間にかお地蔵様の首が無くなっている。何度修復しても首が無くなってしまうため、いつしか「首無し地蔵」と呼ばれるようになった。

長い時を経た今でも、地蔵堂の近辺では女性の霊が目撃されるという。

 

この地蔵堂は母子の魂を鎮めるために祀られたものであり、悪意をもって触れると命の危険にさらされるという噂もある。

あくまでも言い伝えではあるが、事実なら痛ましい話である。訪れた際には弔意を表したい。

 

鳥居をくぐると別世界

鳥居をくぐり、石段を下り、首無し地蔵のさらに先に向かうと噂の「滝不動」がある。

滝不動を訪れた方の情報によると、鳥居の先に入るとがらりと雰囲気が変わるそうで、鳥居をくぐる前に騒いでいた者も静かになることが多いという。

鳥居の先は神様がお鎮まりになる御神域であるため一礼をして進んで行こう。

暗闇を黙々と歩き続け自らの足音だけが木霊する中、川辺に近づくと徐々に水が流れる音が聞こえてくる。

 

赤く小さな太鼓橋狛犬、そして古ぼけたお堂が見えてきたら滝不動はもう目の前だ。

 

このお堂の中には、お賽銭箱や寄贈者の名簿、集合写真のようなものが飾られており、かなり古ぼけた様子である。

 

お堂の裏側に回ると、社の柱部に五寸釘のようなものが無数に刺さっているという情報がある。誰かが「丑の刻参り」をした形跡なのだろうか。

さて、このお堂の裏手に滝不動があるわけだが、滝不動までは道があるわけでもなく、草むらをかき分けて進むことになる。滝の音が一段と大きくなるにつれ、空気が張り詰めていくのを感じる。

 

「滝不動明王像」といわくつきの「刀剣」

滝不動の滝壺には「不動明王像」と、像の前には無数の「刀剣」が祀られている。

この「刀剣」について語る前に、まずはこの土地がどんな場所であるか説明しよう。

 

この地は江戸時代、罪人の首を切るための処刑場であった。

斬首に使われた刀剣の血は滝壺で洗い流され、それが慣例となり、いつしか供養刀が奉納されるようになったという言い伝えがある。

刀剣には数々のいわくがあり、むやみに刀剣に触れたり、悪戯しようとする者は命に関わるような災難に見舞われるとも言われている。

この「刀剣」には処刑場で死んでいった者たちの残留思念が込められているのだ。

 

刀剣にまつわる悲しい話

刀剣についてのエピソードのひとつとしてこんな話がある。

ある日のこと、近隣の子供二人が滝壺に刺さった刀剣を引き抜いてちゃんばらごっこ(刀剣で斬り合いをすること)をしていた。

しかし夜になっても二人は戻らず、住人たちが捜索する騒ぎとなった。

結局その日は見つからず、翌朝に子供達は無残な姿で見つかった。

滝壺の前で首がない遺体となって二人が発見されたのだ。

 

遺体の付近には二本の「刀剣」が転がっていたそうな。

考察するに、お互いに斬り合ったとしても同時に首が飛ぶことはまずないだろうし、極端な話だが、お互いに「せーの!」で斬り合いでもしない限り二人の首がなくなるのは不可能だ。

むしろこの状況で真っ先に疑うべきは第三者の犯行だが、何しろいわくつきの場所である。

 

※金田一耕助シリーズ『悪魔の手毬唄』見立て殺人より

まるで横溝正史の『金田一耕助シリーズ』の見立て殺人のような展開だが、事実は小説より奇なりともいう。もしこれが刀剣の祟りであるとするなら、何とも奇妙で痛ましい話である。

何はともあれその事件以降、奉納される刀剣は今までの鉄製のものから木剣に変更された。

刀を引き抜いて遊ぶと災いが降りかかるという噂はあるが、事実関係は別として「火の無い所に煙は立たぬ」とも言うので、このような噂のあるものには決して関わらないようにした方がいいというのは筆者の考えである。

 

この場所では昔から首つり自殺も多く、首にまつわる事件も度々報告されており、こうした事件や過去の背景があったからか、後にこの地を鎮めようと「不動明王の像」の祀られた。

 

※不動明王 醍醐寺蔵 Photo:WikimediaCommons

不動明王といえば、仏教では大日如来の化身とも言われ、五大明王の中心となる守護者である。

右手には降魔の三鈷剣(刀剣)、左手には羂索(縄)を持ち、悪を縛り上げ因縁を断ち切り人々を煩悩から救い出すと言われている。

この地に「不動明王」が祀られているということは、霊的によくない地である可能性もあるので、訪れた際には軽率な行動は控えた方が無難であると言えよう。

 

宜保愛子氏が入るのを恐れた「滝不動」

心霊ブームだった1980年代、今では伝説の霊能力者である、故・宜保愛子氏(ぎぼあいこ)が、かつて「滝不動」を訪れたことがある。

しかし、鳥居の前で何かを感じとったのか宜保愛子氏は、「ここは私の手に負えない」と、入ることを拒み引き返してしまった。

宜保愛子氏が亡くなったのは、この「滝不動」を訪れた直後だったということもあり、実際の死因は胃癌だったそうだが、ここを訪れたのが原因だったのではないかという噂が流れた。

宜保愛子氏のことを知らない方のために、下記に簡単なプロフィールをまとめてみた。

 

伝説の霊能力者、宜保愛子氏とは

1970~1980年代に数多のTV番組で活動。心霊研究家で放送作家でもある「新倉イワオ氏」と共に、日本テレビ『あなたの知らない世界』に出演し、一躍注目を浴びる。

芸能人や多くの文化人と霊視対談をしたり、超能力者のユリ・ゲラー氏とも対談した。

著書も多数出版されいくつかがベストセラーにもなっている。

2003年に亡くなった後も、伝説の霊能力者として話題にあがることが多い人物だ。

 

4歳の時に左目に火箸(炭火などを扱うための金属製の箸)が落ち失明寸前になり療養するが、視力はほとんど戻らず、その後6歳になって霊が見えるようになったという。

右耳は先天性の難聴により聴力を失っており、聴力を失った右耳から霊の声を聴いていたらしい。

 

宜保愛子氏は新型コロナの蔓延を予言した!?

宜保愛子氏は未来を予言するような驚くべき発言を度々している。

あるTV番組の特番では、『1999年に人類は滅亡する』とされるノストラダムスの大予言について、冝保氏はこう言及していた。

「人類滅亡の大予言は起きないが、その後、全世界を巻き込んで、先に死んだ人を羨むほどの困難が待ち構えている」と予言した。

これは、1999年に人類は滅亡しないと否定する予言だが、注目すべきは「全世界を巻き込んで、先に死んだ人を羨むほどの困難が待ち構えている」の一文だろう。

 

ノストラダムスと言えば予言者、占星術師で有名だが、16世紀に医者としてペスト菌の治療に尽力したという側面も持っている。

ペストは14世紀ヨーロッパを中心に蔓延した感染症であるが、コロナはもはや全世界で6億人を超える感染者を出している。(2022年8月現在)

「先に死んだ人」というのがペスト菌で亡くなった方のことで「全世界を巻き込んで、先に死んだ人を羨むほどの困難」というのが新型コロナウイルスの蔓延を予言していたと言われているのだ。

 

彼女の死後、弟子であり現代も活躍する下ヨシ子氏も、その時の予言をこう語っていた。

「今思うとコロナのことだったのかもしれない」と。

 

霊視によって数々の予言をし世間を驚かせた宜保愛子氏だが、他の有名な予言のひとつとして、滅多に地震が起こらないエジプトで大地震が起こるという予言をした。

その予言後、1992年にM5.9の大地震が発生。死者540人の被害が出ている。これを取り上げたメディアにより、世間では本物の霊能力として評価が高まった。

 

さらに大地震の予言で有名なのは、1990年代にTV出演中に話した下記の発言である。

「将来、日本の東日本で大きな自然災害が起こる」

「その災害で3万人が亡くなるが、その後の復興は立派に成し遂げる」

これは2011年に起こった『東日本大震災』の予言ではないかと言われている。

 

※当時時事ネタTシャツとして販売された「宜保批判 Tシャツ」

数々の伝説的な予言を残した宜保愛子氏だが、1990年代半ばにはその霊能力を疑問視する物理学者「大槻義彦氏」や、女性誌からも批判を浴び、TV出演回数は低下。その後5年間活動を休止する。

2003年5月6日、胃癌のため死去。本人の生前からの遺言で親族のみで密葬される。

生前は霊障で困っている依頼者へのシンプルな除霊や供養方法を用い、霊感商法などで金品を巻き上げるようなことは一切しなかった人間性が、亡くなった今でも称賛されている。

 

今現在の「滝不動」

今現在の滝不動は有名になりすぎて訪れる者が増えた弊害なのか、残念ながら閉鎖されて立ち入り禁止となっている。

2020年あたりから近隣の道路も通行止めになっていたらしく、地元では老朽化により撤去されるのでは、と噂が流れていたようだ。

不動明王の像や奉納された刀剣類や社など、現在ではすべて撤収されているそうだ。

昼間に訪れると空気もよく、滝の流れる音が心地よい自然豊かな場所だっただけに残念な話である。近くを通りかかる際には過去に「滝不動」があったことを思い出して、感傷にふけるのもいいのではないだろうか。

最後に撤収後の今現在の滝不動を見たい方は、下記動画からご覧下さい。

 

撤去後の今現在の滝不動(動画)

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1分50秒(散策開始)からスタートします。くず男の部屋様チャンネルへ

地図

名称:滝不動
住所:山形県上山市鶴脛町999ー3155

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