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きさらぎ駅

都市伝説まとめ「きさらぎ駅」

2ちゃんねるのオカルト版「身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ」に投稿されたのが起源のいまだに語り継がれる都市伝説。

いつも乗り慣れているはずの某私鉄に乗車したはずが、忽然と現れた謎の無人駅(きさらぎ駅)に降車してしまってからの出来事を4時間かけて実況した怪異。

2004年に投稿されてから十数年経った今でもインターネットの中では語り草となっている。

 

きさらぎ駅の概要

いつものように雑談で賑わう2ちゃんねる。その中の「身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ26」に奇妙な相談が投稿された。

 

「気のせいかも知れませんがよろしいですか?」

 

投稿した人物は、ハンドルネーム『はすみ』おそらくは女性である。彼女はいつもの電車で帰宅途中、車内の様子がおかしいことに気づき、2ちゃんねるの実況スレにその時の様子を投稿したのである。その時の一連の流れはこうだった。

 

彼女はいつものように帰宅するため、静岡県浜松市の新浜松駅から23:40分発の電車に乗車した。

普段なら5分程度で次の駅に停車するはずだが、なぜかこの日は20分以上駅に停まらなかった。不審に思い辺りを見回してみると5人ほど乗り合わせていた乗客はすべて眠っているという。

そこで「身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ26」に投稿したのがすべてのはじまりであった。

 

その後、電車はしばらく走り続けるがようやく停まる気配がしてついに停車した。

はすみが下車した駅名はこの世には存在しない『きさらぎ駅』であった。

 

 

駅から外に出ると周囲には何もなく、ただただうっそうと茂った草原と山が広がっていた。深夜の1時過ぎで人の気配もなく、辺りには公衆電話やタクシーも見当たらず真っ暗である。

家族に電話して迎えを頼むがそんな駅は聞いたこともなく地図にも載っていないという。線路沿いを歩けばいずれ帰宅できると考えたはすみは、沿線をひたすら歩くことにした。

 

深夜の薄明かりの中、線路を黙々と歩いているとどこからもなく太鼓を叩く音と鈴の音が聞こえてきた。怖くなって帰路を急ぐと、後ろからふいに「線路を歩いたら危ないよ」と声をかけられる。

駅員だと思い振り返るとそこには片足がないお爺さんが立っていた。しかしそのお爺さんはその後そのまま消えてしまった。

 

さらに線路沿いを歩いて行くと先ほどの太鼓の音が徐々に近づいてきた。それでもなお歩み続けると、目の前にトンネルが見えてくる。トンネルの入り口には『伊佐貫』と刻まれていた。

実況で2ちゃんねるの住民達に報告すると「トンネルの向こうへ走れ」などと応援する声があがった。勇気づけられたはすみは恐怖を押し殺してトンネルの先に向かってみた。

するとトンネルを抜けた先に見知らぬ誰かが立っていた。助けを求めると近くの駅まで車で送ってくれるという。そこにはビジネスホテルもあるらしい。はすみは助かったと安堵した。

 

車に乗りこんだはすみが場所を尋ねると比奈(静岡県富士市)だという。乗車した新浜松駅からは120km以上離れており、はすみはあり得ないと思った。

その後、車はどんどんと山奥へと進んでいき、最初は親切でいろいろ話してくれた運転手はだんだんと無言になり話してくれなくなった。やがてぶつぶつと独り言を言い出したという。

やがてはすみは携帯のバッテリーが切れそうになったため、「隙があったら逃げる」「いざという時の為にこれを最後の書き込みにします」と言い残し、それ以降2ちゃんねるへの書き込みは途絶えたのであった…。

 

きさらぎ駅のその後

最後の書き込みから約7年経った2011年のこと。消息を絶っていた「はすみ」を名乗る人物から匿名掲示板に書き込みがあった。そこにはその当時の出来事や後日談が書かれていた。

 

 

「親切な方」が車で送ってくれることになり、車は山奥へと進んでいきやがて森の中で停まった。

窓の外を眺めていると遠くに光が見えてきた。光の方を見ていると中から人影が現れ、見知らぬ男が歩み寄ってきた。

近づいてきた男は「何でここにいる!!」と慌てた様子で言った。その瞬間、車に衝撃が走り瞬く間に運転席の男が消えてしまった。

窓の外の男が「運転席の男は消した、今のうちに逃げるんだ」「光の方へ歩け」と告げる。言われるがままはすみが光の方へ歩いていくと、やがて辺り一面が光に包まれた。

 

気がつくと、そこは見慣れたいつもの最寄りの駅であった。

駅に停まった車からはすみの事を呼ぶ両親の声が聞こえてきた。はすみが消息を絶ってからずっと探し続けていた両親によると、はすみにとっては一晩の出来事だったが、最後の書き込みから7年の月日が過ぎていたという。

だが、このはすみと名乗る人物が当時のはすみと同一人物かどうかの確証はないため、この「後日談」はなりすましの可能性も否定はできない。

こちらは余談だがこの後日談の2ヶ月後、別の人物が「電車で寝過ごした結果、きさらぎ駅に着いた」とツイッターで呟いた。そのツイッターでは画像も添付されており、鉄道マニア達が検証する騒ぎにもなった。しかし、画像を添付した人物はツイッターを非公開にしてアカウントを削除してしまった。

 

それ以降もSNSなどで「きさらぎ駅に着いた」という類似の投稿が寄せられ、異界の駅に着いたという話はネット上で断続的に語られるようになった。

最後の書き込みから14年経った2018年1月9日には「きさらぎ駅」の舞台にもなった静岡の地元紙である、静岡新聞の夕刊で「遠鉄にきさらぎ駅?」と銘打たれ話題にもなった。

きさらぎ駅は、十数年経った今でも信じる者を惹きつけてやまない魅力ある都市伝説なのだ。

 

『ガンガンONLINE』では『はじまりの夜行列車』という作品が短期連載され、「きさらぎ駅」を題材とした映画も制作された。

2ちゃんねるのオカルト板発祥の怪談をドラマ化した『2ちゃんねるの呪い』では、現世とは交信できないが何故か2ちゃんねるでのみ交信できる駅として、この駅がモデルとなった。

主人公は2ちゃんねらーの助けを借りて異界の駅から脱出を試みるが…。
(続きは上のリンク先の本作でお楽しみください)

 

きさらぎ駅の場所はどこ?

ところで多くの方が「きさらぎ駅」の場所を検証したのだが、浜松市の新浜松駅から23:40分発の終電があるという情報から割り出されて、一時期話題になったのが遠州鉄道の「さぎの宮駅」である。

実際「きさらぎ駅」の場所を特定しようと、この駅に大勢の方が訪れて周囲を探索したそうだ。

しかしその駅の周辺は住宅街で、はすみが書き込んだ「草原や山がある」「太鼓や鈴の音が聞こえる」「トンネルがある」などが一致せず、惜しくも違うと判断された。

 

さらにその後、別の掲示板への書き込みから有力な情報が出てきた。

それは静岡県磐田市の私鉄で「光明電気鉄道」という路線である。この路線は夢の高速鉄道として昭和初期に開通したが、開通からわずか7年後の昭和10年に廃線となった。

電気料金の滞納のために全線が運行停止になり、その後も事業の継続ができなかったことが廃線の理由だ。

 

その「光明電気鉄道」にはおよそ90年前に匂坂駅(かぎさか駅)という駅が存在しており、当時その駅の周辺には、書き込みの情報にあった「草原や山」が沿線一帯に広がっていたそうである。

 

 

さらに沿線上には「伊折トンネル」というトンネルが実在しており、はすみが書き込んだ「トンネルがある」という情報とも一致する。

不思議なことに「きさらぎ駅」と「かぎさか駅」、「伊佐貫トンネル」と「伊折トンネル」で何となく語感が似ている。もしかしてはすみは90年前にタイムスリップしてしまったのだろうか…。

太鼓の音や鈴の音が聞こえてきたり、ひたすら田舎道を歩く情景を思い浮かべるとあながち間違ってはいないのかもしれない。不思議でロマン溢れる話である。

だが「きさらぎ駅」の存在が知れ渡った今でも、その駅の場所については特定されておらず、今後の情報に期待したいところである。

 

きさらぎ駅まとめ

鉄道関係者の中でも「きさらぎ駅」について知る者は多いと言われている。しかし「きさらぎ駅」が沿線上で実在しないのは紛うことなき事実なのである。

ただ、実在しない異界空間に来てしまったという類似の証言も多く、そういった怪異については科学的に絶対にないと証明できないのもまた事実なのだ。

いつもの乗り慣れた電車やバスで、ふと気づくと車窓の風景が違っていたり、ドライブ中に同じ道を無限にループしたりした時は「きさらぎ駅」のことを思い出して欲しい。

その時の行動によっては元の世界に戻れなくなる可能性もあるため、間違った選択をしないよう充分に気をつけて欲しいものである…。

 

最後に「きさらぎ駅」について、2004年に2ちゃんねるに書き込みがあった当時のリアルな全容を知りたい方のために下記にまとめてみた。

時系列にあったことを細かく知りたい方は読んでみて欲しい。

また、世界の何だコレ!?ミステリーで「きさらぎ駅」の話ではないが、実際に異界の駅に迷い込んでしまった話を再現した動画(再生時間11分27秒)があったので紹介しておこう。

Twitterをよく見る方はご存知かもしれないが、こちらの異世界での体験談は証拠画像なども何点か残されており、興味深い怪異なのだ。よかったら見て頂きたい。

 

世界の何だコレ!?ミステリー(異世界の駅に迷い込んだ男)

世界の何だコレ!?ミステリー2020年10月21日 201021 隊員が気になる謎をプレゼン&自ら責任持って直撃取材!数が変わるお地蔵様?饅頭だらけの山?河童のミイラ? @発光体&深夜怪現象…

 

きさらぎ駅のあらすじ全容(詳細)

2004年1月8日23時14分、2ちゃんねるの『身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ26』でいつものようにレスが行き交う中、ある相談が投稿された。(レス98)

 

「気のせいかも知れませんがよろしいですか?」23:14

 

投稿者のハンドルネームは、[はすみ(葉純) ◆KkRQjKFCDs]と名乗っていた。おそらくは女性である。

実況形式なのでスレッドに参加していた2ちゃんねらーがすぐに反応、「取りあえずどうぞ」と返信した。すると投稿者のはすみはそれにこう答えた。

 

「先程から某私鉄に乗車しているのですが、様子がおかしいのです。」23:14

 

 

不思議な体験や怪現象に飢えた2ちゃんねるの住人達はこのレスに注目した。参加していた者は掲示板に「どんな風にかを書いてくれないと…。」などと書き込んだ。

 

はすみは、車内の様子や状況などを手短に投稿した。

 

「いつも通勤に使っている電車なのですが、先程から20分くらい駅に停まりません。いつもは5分か長くても7、8分で停車するのですが停まりません。乗客は私のほかに5人いますが皆寝ています。」23:23

 

はすみは帰宅のため、静岡県浜松市に実在する新浜松駅(遠州鉄道)から23:40分発のいつも乗っている電車に乗車した。

彼女が言うには、普段利用しているこの電車はせいぜい5分程度で次の駅に停まるはず。なぜか今日は20分以上も走り続けており、不思議に思い辺りを見回すと周囲の乗客もみな眠っている。そこで2ちゃんねるに相談を投稿したという。

 

相談を持ちかけられた2ちゃんねるの住人は「特急とか各停とかの違いじゃないの?」「とりあえず、状況をうpしろ」などと反応してレスを促す。すると、はすみはこう言った。

 

「ご指摘通りに、乗り間違えた可能性ももあるかもしれませんね。もう少し我慢してみます。また、おかしいようであれば相談させていただきたいと思います。」23:29

 

いつもの電車に乗ったつもりが仕事で疲れて乗り間違えてしまったのかも…、と話はここで終わるかに思われた。しかし異様な体験がはじまるのはここからであった。

 

眠る乗客、不可解な電車内

心配になった2ちゃんねるの住人は「とりあえず一番端っこの車両に行って車掌を見に行ってみれば?」と、投稿した。すると、はすみはこう答えた。

 

「まだ停まる気配がないのでちょっと見てきます。」23:44

 

はすみのレスを待っている間に掲示板で憶測や意見が飛び交う。

 

「路線と乗った駅名をまず書きましょう。」

「電車が走り続けてるってことは、当然前の車両も止まってないんだよね。よっぽど車間があいてる運行本数の少ない路線じゃなければ。」

 

興味津々な住人達のレスが飛び交う中、はすみが戻ってきてこう言った。

 

「ブラインドというか窓に目隠しがしてあって、車掌さんも運転手さんも見えませんでした。路線は静岡県の私鉄です。」00:00

 

いつもならとっくに降車して帰宅しているはずなのに、時間は0時を回り日付は2004年1月9日となっていた。

車掌室を見に行ったはすみが言うには、運転席にブラインドがされており中が見えない状況だという。たった数人の眠った乗客を乗せ時刻も深夜、しかも運転席も見えない状況とは何とも薄気味悪い話である。

 

はすみの事が心配になってきた2ちゃんねるの住人達は「鉄道会社に電話しろ」「窓をコンコンしてみたら?」などと返信した。実況形式のスレなので、はすみは言われるがまま運転席の窓を叩いてみた。すると…、

 

「窓を叩いてみたのですが返事はなかったです。」00:08

 

窓を叩いても反応しない運転手、いったい“ナニ”が運転しているのだろうか…。あり得ない状況を聞いた2ちゃんねるの住人達は一斉にはすみに問いかける。

 

「何時発の電車に乗ったの?」

「少し勇気がいるかもですが他の乗客に状況を話してみては?」

「窓から外見えないの?通過した駅の名前とか」

 

10分弱経った頃、はすみからレスがあった。

 

「トンネル出てから速度が少し落ちました。普段トンネルなんてないのですが。新浜松からの電車です。」00:19

 

いつもなら存在しないはずのトンネルを抜け不安な気持ちで車内を歩くはすみ。

たしかに新浜松からの電車に乗ったはずであった。しかし、走れど走れど一向に電車は停まる気配がない。その数分後、はすみから意外なレスがあった。

 

「停まりそうです駅みたいです。」00:23

「今きさらぎ駅に停車中ですが、降りるべきでしょうか。聞いた事も見たことも無い駅なのですが。」00:25

 

停まる気配のなかった電車は何の前触れもなく停車した。いつもなら5分程度で停まるはずの電車は、23:40から00:25の投稿までの間ゆうに45分は走行していた。しかも、停車した駅は見た事も聞いた事もない駅名であった。

 

その名は「きさらぎ駅」

 

実在しない駅「きさらぎ駅」

「降りてしまいました。無人駅です。乗った電車は11時40分だったと思います。」00:25

 

不安の中、はすみは見知らぬ駅で下車してしまった。駅名を聞いた2ちゃんねらーはこぞって検索してみる。するとそこはインターネットの検索でもヒットしない駅名であった。心配になった皆は掲示板に書き込んだ。

 

「きさらぎ駅って検索引っかからないな…「きさらぎ」ってひらがな?」

「これからどうすんの?」

「警察行く…って程でもないよな、でも見知らぬ土地って怖いよなぁ」

 

すると、はすみはこう言った。

 

「戻ろうと思い時刻表を探しているのですが見当たりません。電車はまだ停車していますのでもう一度乗ったほうが無難でしょうか。と書いてるうちにいってしまいました。」00:34

 

思わず降りてしまったはすみは、駅内の時刻表を探しながら不安になり、「もう一度乗りこんだ方が無難でしょうか」とレスを書き込んでいるうちに不運にも電車が発車してしまったのである。

 

しばらくするうちに、はすみからレスがあった。

 

「家に電話して迎えに来てくれるよう頼んだのですがきさらぎ駅の場所が両親にもわからないようです。地図で調べてから迎えに来てくれることになりましたが、なんか怖いです。」00:48

 

怖くなったはすみは、家に電話をしてみる。すると電話は通じた。

電話に出た両親に事情を話し迎えを頼んでみるが、両親にも「きさらぎ駅」の場所がわからないという。地図で調べて迎えに来るという事で一旦電話を切った。時刻は深夜1時近く、ご両親もさぞかし心配であろう。

 

2ちゃんねるの住人達は、はすみに一斉に問いかけた。

 

「近くに電話ボックスがあったら、電話帳でタクシー会社調べて電話だ」

「ほかの人はどうしたの?降りたのは君だけかい?」

「俺もネットで調べてみたけどきさらぎ駅って言う駅名が出てこないんだ。新浜松周辺にいることは間違いないんですよね?」

 

2ちゃんねる掲示板を確認しながら駅内を歩き、はすみはこう返信した。

 

「公衆電話は探したのですが無いです。他の人は降りませんでしたので、いま私一人です。駅名はきさらぎで間違いないです。」00:53

 

インターネットで検索して調べていた2ちゃんねるの住人のひとりがこう書き込んだ。

 

「今ちょっと調べたら、鬼って書いて、きさらぎって読めるのね。。。」

「鬼駅かよ…こぇぇ」

 

“鬼“とは読み方が、「おに」「おにやなぎ」「きさらぎ」「みにわ」などいくつかあり、「きさらぎ駅」を漢字にすると「鬼駅」とも書けるという。

余談だが暦の2月の事を指す如月(きさらぎ)は旧暦2月15日の釈迦入滅日の、衣更着(きさらぎ)という事からきたという説がある。

 

きさらぎ駅から外に出て沿線を歩くことに・・・

2ちゃんねる掲示板では、はすみが心配な者とこれはネタだからという者の意見に分かれ、意見が交錯していた。そうこうする内に、はすみからレスがあった。

 

「そうですね、パニックになっていて気が付きませんでした。線路に沿って歩きながら両親からの電話を待ちます。先程アイモードのタウン情報で調べてみたのですがポイントなんとかエラーってなってしまいました。早く帰りたいです。」01:12

 

それを見た2ちゃんねる住人のひとりがこう質問した。

 

「まわりはどんなところなんだ?何もないって言っても、山が見えるとか、畑があるとか、一面草原とか、海が見えるとか、そういう特徴を教えて。」

 

ネットで調べても出てこない駅名である。当然と言えば当然の質問であろう。質問に対し、はすみはこう答えた。

 

「近くには本当に何も無いです。草原とか山が見えてるだけです。でも線路を辿っていけば帰れると思いますので頑張ってみます。ありがとうございました。ネタだと思われてもいいので、また困ったら相談してもいいですか。」01:18

 

駅を出ると鬱蒼とした草木と、遠くに山の陰影が見えるだけで、周りには何もなかった。

見知らぬ駅と言えども、駅を出ないで朝まで待てば安全なのでは…と思うところだが、一刻も早く家に帰りたいはすみはきさらぎ駅から歩いて帰ることにしたのである。

ネタだろうと他人事で茶化す者もいる中、はすみを心配している者たちは声をかけた。

 

「はすみさん、頼むからタクシー呼んでください。こんな時間に下手に動き回るのは危険ですよ?」

「何もない所で携帯の電波は届くのか?駅から動かない方がいいと思うが…」

「っていうかK察呼んだら一発なのに」

 

すると、それに答えるようにはすみからレスがあった。

 

「父親から電話があり、いろんな問答があってどうしても場所がわからないから110番しなさいと言われたので、多少抵抗はありますが今から電話して助けて頂く事にします。。」01:30

 

暗く静かで何もない沿線の田舎道をトボトボと歩き続けるはすみは、思いきって110番をしてみた。どうやら電波は通じるようだ。電話に出たお巡りさんに歩きながら事情を説明した。

2ちゃんねる住人が憶測で意見を交換していること25分後、はすみからレスがあった。

 

「110番して一生懸命現在の状況を説明したのですが、結局いたずらとだろと怒られてしまい、怖くなって謝ってしまいました。。」01:55

 

太鼓を叩く音と鈴の音

「遠くの方で太鼓を鳴らすような音とそれに混じって鈴のような音が聞こえているのですが、正直もうどうしたらいいのかわかりません」01:57

 

時間は深夜の2時、ちょうど丑三つ時。

沿線の道を歩き続けるといつの間にか遠くから太鼓を鳴らすような音と、「チリンチリン」と鈴の音色が聞こえてきたという。さすがの2ちゃんねる住民達も「太鼓と鈴の音…?」「こんな深夜に祭り?」などと不審に思ったという。しかし…

 

「嘘だと思われるかもしれませんが、怖くて後ろが見れません。駅に戻りたいのですが、振り向けません。」02:01

 

その書き込みに反応した2ちゃんねる住人は「走れ。絶対に振り向くな」と言うものと「何とかして駅に戻った方がいいよ」と、意見が割れた。

すると数分後はすみから書き込みがあった。

 

「おーい危ないから線路の上歩いちゃ駄目だよって後ろの方で誰か叫んでいたので、駅員さんかと思い振り向いたら10メートル位先に片足だけのおじいさんが立っていたのですが、消えてしまいました。もう怖くて動く事ができません。」02:09

 

「百鬼夜行だね」「振り向くな。走れ」と2ちゃんねる住人は答える。だが疲労困憊のはすみは、

 

「もう歩けないし、走れないです。太鼓みたいな音が少しだけ近づいてきています。」02:13

 

もう2時間近く慣れない夜道を歩き続けたはすみに限界が近づいていた。

「あと4時間程で朝だ!それまでガンガレ!」と応援する者もいれば、「さぁ!走れ、走れ!
追いつかれないようにね。」と煽る者もいる。

そんな中、ある2ちゃんねるの住人はこう言った。

「はすみはもうこの世の人じゃない 残念だが君の書き込みからは生きた人間の感じがしない
自覚しないと成仏できないよ」と。するとはすみは、

 

「私はまだ生きてます。転んだ傷から血も出てるし、折れてしまったヒールもきちんと持っています。まだ死にたくないよ。」02:20

 

夜道をひたすら歩く本人と違い、2ちゃんねる掲示板から様子を見ているだけの者からすると、異世界に迷い込んでしまったかもしれないはすみから、生気を感じないのも無理のない話であろう。

そんな中、掲示板で妙に自信あり気に先へ進ませようと誘導する投稿も見られるようになってきた。

「裸足でも走れ。生きたければ走れ。痛みなどその場だけだ。」

「後ろを振り向くな。駅も電車も既に消えてしまいこの世にはない。走れ。今までの事は忘れろ」

「繰り返す。既に駅は消えた。後ろに戻るところはない。トンネルの向こうの生ける者の世界へ走れ」

「とりあえずトンネルを抜けたら安全だと思うよ トンネル抜けたらすぐ通報して保護してもらいなよ」

 

すると15分ほど経った頃、はすみからレスがあった。

 

「家に電話しました。父から警察に電話してくれるそうですが、音がドンドン近づいてきます。」02:35

 

不気味な太鼓の音も近づき、さらに書き込みを見て不安になったはすみは、再度両親に迎えを頼んだようだ。されど、現在の場所が地図に無い以上わからないのは変わらないと思うが…。

 

このまま立ち止まっているわけにもいかず、はすみはトンネルに向かって歩き続けた。すると10分後、はすみから報告の書き込みがあった。

 

「何とか頑張ってトンネルの前まで来ました名前は伊佐貫となっています。音も近くなっているので勇気をだしてトンネルを抜けてみようと思います。葉純が無事トンネル出たらまた書き込みます。」02:45

 

トンネルの名前は「伊佐貫」

またしても検索しても出てこない謎の地名であった。

 

夜道を歩き続けてようやく辿り着いたトンネルだが、人気はなく怪しい太鼓が鳴り響く。普通なら入るのも躊躇うと思われるのだが…。ここでも掲示板でトンネルへ誘導する書き込みがあった。

 

「これが最後だ。電車も駅も既にない。戻るところはない。追う者もいない。聞こえる音は自分が作り出している過去の幻だ。トンネルの向こうへ走れ。立ち止まったら、どちらの世界でもないところで嵌って呻吟するだけだぞ。」

 

25分後、はすみからレスがあった。トンネルを抜けて返信するまでにかかった時間が25分とすると、相当長いトンネルであったのだろうか。

 

「トンネルから出ました。先の方に誰か立っています。助言して頂いた通りにして正解だったようです。ありがとうございました。涙で顔がグシャグシャなので葉純がお化けに間違われてしまうかもしれませんね。」03:10

 

トンネルを抜けた先には深夜3時過ぎにも関わらず、見知らぬ人が立っているという。

自分がお化けに間違われないか心配するはすみだが、第三者の目線で見たらトンネルの先に立っていた人物の方が幽霊な気がする。それを見た2ちゃんねる住人の中には「待て、はすみ!逝くな!」「止まれって!やばいよ、それ!」などと心配する者もいた。

しかし、はすみはトンネルの先へと誘導する書き込みに感謝するだけであった。数分後、はすみからレスがあった。

 

「ご心配かけました。親切な方で近くの駅まで車で送ってくれる事になりました。そこにはビジネスホテルみたいなものがあるらしいです。皆様本当にありがとうございましたです。」03:20

 

トンネルの先に立っていた人物は親切な方で近くの駅まで送ってくれるという。

先ほど夜道を歩いていた時に「ヒールが折れてしまった」と書き込んでいる事から、はすみは女性だと思われる。深夜3時過ぎに親切そうに見えても、見知らぬ人の車に乗りこむのは危険だと思われるが…。

しかし、恐怖と不安で疲労困憊のはすみに冷静な判断ができるはずもなく、車に乗り込んでしまった。

 

「場所を聞いたら比奈だと言うのですが、絶対にありえない事だと思うのですが。」03:29

 

数分後、はすみからレスがあった。

 

今の場所を尋ねると「比奈」と言われたという。比奈という地名は確かに存在するが、場所は静岡県富士市で乗車した新浜松駅からは100km以上も離れているのだ。

それを聞いた2ちゃんねるの住人もさすがに「おかしい」と思った。するとはすみからレスがあった。

 

「先程よりどんどん山の方に向かってます。とても車を置いて置く場所があるとは思えないのですが。全然話てくれなくなってしまいました。」03:37

 

助かったと安堵したのも束の間、はすみを乗せた車は駅どころか山道を進みどんどん山の中へ入っていった。親切そうに見えた人物も語りかけても返事はなく無言になっていったという。

さらに数分後、はすみから最後のレスがあった。

 

「もうバッテリーがピンチです。様子が変なので隙を見て逃げようと思っています。先程から訳のわからない独り言を呟きはじめました。いざという時の為に、一応これで最後の書き込みにします。」03:44

 

この3:44の書き込みを最後に、はすみは音信不通になった。

これ以降、掲示板での2ちゃんねるの住人の憶測や別のスレッドは次々とできるが、はすみからの書き込みは途絶えいつしか都市伝説になったのである。

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